BtoB-ECとは、企業間で行われる電子商取引のことです。近年、BtoB-EC市場規模は急速に拡大しており、多くの企業が通販サイトの構築を検討しています。
この記事では、BtoB ECの基本やメリット、デメリット、構築のノウハウについて徹底的に解説します。BtoB ECに興味のある方は必見です。ぜひ参考にしてください。
BtoB ECの基本とは?
BtoB(B2B)EC は、BusinesstoBusiness、ElectronicCommerceの略で、企業間で行われる電子取引のことです。企業が他の企業に商品やサービスをオンライン上で販売する仕組み(ネットショップ)です。
BtoB EC には、多くのメリットがあります。24時間365日受注が可能で、顧客管理の効率化を図ることができます。また、新規顧客の獲得、売上拡大にも有効です。
BtoB EC は、以下の種類に分類されます。
- 自社構築型
- パッケージ型
- SaaS型
BtoB EC の導入を検討している企業は、ぜひ積極的に活用することをおすすめします。
BtoB ECの種類とは?
BtoB ECには、大きく分けて3つの代表的な種類があります。
- 総合型EC:
複数のメーカーや卸売業者・問屋が参加し、幅広い商品を取り扱う - 専門型EC:
特定の業界や商品に特化したEC - クローズドEC:
特定の企業グループやサプライチェーン内で利用されるEC
総合型ECは、幅広い商品を扱っているため、企業にとっては調達先を一本化でき、効率的に購買活動を行うことができます。また、メーカーや卸売業者にとっては、多くの顧客にアプローチできるメリットがあります。
専門型ECは、特定の業界や商品に特化しているため、企業にとっては、必要な商品を効率的に検索・購入することができます。また、メーカーや卸売業者にとっては、ターゲット顧客に絞ってマーケティング活動を行うことができます。
クローズドECは、特定の企業グループやサプライチェーン内で利用されるため、セキュリティが高く、機密情報が漏洩するリスクが少ないというメリットがあります。また、企業間取引に特化しているため、購買業務の効率化を図ることができます。
企業は、自社のニーズに合わせて、最適なBtoB ECを選択する必要があります。
国内BtoB EC市場の規模とEC化率
現在、国内のBtoB EC市場は急速に拡大しており、2021年度には約340兆円に達しました。これは2016年度の約230兆円と比較して、約1.5倍に増加しています。
BtoB ECの普及には、いくつかの要因が挙げられます。まず、インターネットの普及により、企業間の情報交換や取引が容易になったことが挙げられます。また、クラウドサービスやスマートフォンなどのテクノロジーの進歩により、BtoB ECの導入ハードルが低下したことも要因の一つです。
BtoB EC化率は、BtoB取引におけるECの利用割合を示す指標です。2021年度の国内BtoB EC化率は13.6%でした。これは2016年度の9.6%と比較して、約1.4倍に増加しています。
BtoB EC化率は、今後さらに上昇すると予想されています。経済産業省は、2025年度までにBtoB EC化率を20%にまでアップさせることを目標としています。BtoB ECは、企業間の取引効率化やコスト削減、新規顧客の獲得などに効果的であるため、今後も多くの企業がBtoB ECを導入していくと予想されます。
BtoB ECとBtoC ECの違いとは?
BtoB-ECとBtoC-ECは、法人向けの通信販売と一般消費者向けの通信販売という違いがあります。 BtoB ECでは、原材料や部品、設備など、企業が事業活動に必要な製品やサービスを販売します。 BtoC ECでは、個人が消費する製品やサービスを販売します。
他にも、取引量、金額、決済方法、物流、マーケティング、商品価格などさまざまな点で異なります。 BtoBECは、少量の取引から大量の取引まで幅広く行われます。 BtoCECは、一般的に少量の取引が中心です。
BtoB ECでは、銀行振込や手形決済などが一般的です。 BtoC ECでは、クレジットカードや電子決済、コンビニ払い、代金引換など、多くの決済手段が利用されます。 BtoB ECでは、自社倉庫や物流センターから直接納品されることが多く、個人宅への配送は少ないです。 BtoC ECでは、個人宅への配送が中心となります。
BtoB ECでは、専門誌や展示会など、企業向けのマーケティング手法が中心となります。 BtoC ECでは、テレビCMやインターネット広告など、個人向けのマーケティング手法が中心となります。
BtoB ECでは、数量や取引条件によって価格が変動することが多く、公開価格が存在しないことも少なくありません。 BtoC ECでは、一般的に公開価格が設定されています。
それぞれの違いを理解した上で、自社のビジネスに適したECサイトを構築することが重要です。
BtoB企業がEC化するメリット3つ
BtoB企業がECサイトを構築するメリットは多くあります。ここでは、主なメリットを3つご紹介します。
- 受注業務の効率化:
ECサイトを利用することで、手入力だった受注業務を自動化することができます。これにより、注文の入力や確認、発送などの作業にかかる時間を大幅に削減できます。 - 新規顧客の獲得:
ECサイトは24時間365日営業しており、世界中からアクセスできます。これにより、従来の営業活動ではリーチできなかった取引先を増やすことができます。 - 受注機会の増加:
ECサイトは、商品情報を詳細に掲載することができます。これにより、顧客が商品をより深く理解し、購入意欲を高めることができます。また、ECサイトでは限定販売や割引キャンペーンなどを実施することもでき、受注機会の増加につながります。
これらのメリットに加え、ECサイトは顧客とのコミュニケーションツールとしても活用できます。顧客からの問い合わせに迅速に対応したり、アンケートを実施したりすることで、顧客満足度を高めることができます。
受注業務の効率化
BtoB企業がEC化するメリットの一つに、受注業務の効率化が挙げられます。ECサイトを導入することで、従来の手作業での受注処理を自動化することが可能になります。
例えば、お客様がECサイト上で注文を行うと、自動的に受注データが生成され、在庫管理システムや会計システムと連携することができます。これにより、受注処理にかかる時間やお客様とのやり取りにかかる時間を大幅に削減することができ、人件費の削減にもつながります。
また、お客様自身で注文や支払いを行うことができるため、営業担当者の負担も軽減されます。さらに、ECサイト上には商品情報や価格表などを掲載することができるため、お客様がいつでも必要な情報を取得することができ、問い合わせ件数の削減にもつながります。
受注業務の効率化は、BtoB企業にとって大きなメリットの一つです。ECサイトを導入することで、業務効率・生産性を向上させ、コスト削減につなげることができます。
新規顧客の獲得
BtoB企業がECサイトを構築することで、新規顧客の獲得に大きく貢献します。従来の営業活動では、時間とコストをかけて顧客を開拓する必要がありましたが、ECサイトは24時間365日営業しており、顧客はいつでも商品情報を確認し、購入手続きを行うことができます。また、ECサイトはインターネットを通じて全国の顧客にリーチできるため、営業エリアを拡大し、新規顧客を獲得することができます。
さらに、ECサイトには顧客情報を蓄積できるというメリットもあります。顧客の購買履歴や閲覧履歴などを分析することで、顧客のニーズを把握し、より効果的なマーケティング活動を行うことができます。
受注機会の増加
BtoB ECの導入によって、受注機会が増加する可能性があります。ECサイトは、企業が24時間365日営業できるオンラインストアであり、顧客はいつでもどこからでも商品やサービスを購入できます。これにより、企業は営業時間外や休日に受注が発生する可能性が高まります。
また、ECサイトは地理的な制約を受けにくいため、全国の顧客に商品やサービスを販売することができます。さらに、ECサイトは検索エンジン最適化(SEO)対策を行うことで、より多くの顧客にリーチすることができます。これらの理由から、BtoB ECの導入は、受注機会の増加につながると考えられます。
BtoB企業がEC化するデメリット2つ
BtoB企業がEC化を検討する際、メリットだけでなくデメリットも理解しておくことが重要です。ここでは、BtoB企業がEC化する際の2つの注意点について簡単に説明します。
- 導入コストの発生:
BtoB ECを導入するには、システム開発や運用管理など、様々なコストが発生します。特に、初期段階ではシステム開発費や人件費などの大きな投資が必要となるケースが多く、資金面の負担が大きくなる可能性があります。 - 既存顧客へのフォローの必要性:
BtoB ECを導入すると、従来の取引方法を変更することになります。そのため、既存顧客への丁寧なフォローが必要です。例えば、ECサイトの使い方を説明したり、問い合わせ対応を充実させたりすることで、顧客満足度の低下を防ぐ必要があります。
BtoB ECは、企業にとって大きなメリットをもたらす可能性を秘めていますが、デメリットも存在します。
次のセクションからこれらのデメリットについて詳しくみていきましょう。
導入コストの発生
BtoB ECサイトを構築する際には、初期費用やランニングコストが発生します。
- 初期費用:
- システム開発費
- サーバーやネットワーク構築費
- デザインやコンテンツ制作費
- ランニングコスト:
- システム保守費
- サーバーやネットワーク維持費
- 人件費
これらのコストは、企業規模や導入するシステムの規模によって異なります。 初期費用は高額になる傾向がありますが、長期的に見れば効率化によるコスト削減効果が期待できます。
導入コストを抑える方法としては、以下のものが挙げられます。
- クラウド型サービスを利用する:
クラウド型サービスは、初期費用を抑えることができます。また、サーバーやネットワークの管理も不要になるため、ランニングコストも削減できます。 - オープンソースソフトウェアを利用する:
オープンソースソフトウェアは、無料で利用することができます。ただし、開発やカスタマイズには専門知識が必要になるため、人件費がかかる場合があります。 - パッケージ型システムを利用する:
パッケージ型システムは、初期費用は高額になりますが、開発期間が短く、すぐに導入することができます。また、保守やサポートも充実しているため、運用管理が容易です。
既存顧客へのフォローの必要性
BtoB ECでは、既存顧客との関係を維持することが非常に重要です。EC化によって顧客との接点が減ってしまうため、顧客が離れてしまう可能性があります。そのため、EC化後も既存顧客へのフォローを継続する必要があります。
具体的には、以下の方法が有効です。
- メールマガジンによる情報発信:
新商品やキャンペーン情報などをメールマガジンで配信することで、顧客との接点を維持することができます。 - 定期的な電話や訪問:
顧客との信頼関係を築くためには、定期的な電話や訪問が有効です。顧客のニーズを把握し、課題解決に役立つ提案をすることで、顧客との関係を深めることができます。 - 顧客満足度調査の実施:
顧客満足度調査を実施することで、顧客の満足度を把握することができます。顧客の不満を把握し、改善することで、顧客満足度の向上につなげることができます。
EC化によって業務効率化を図ることは重要ですが、既存顧客との関係を維持することも重要です。EC化後も既存顧客へのフォローを継続することで、顧客との関係を維持し、売上を拡大することができます。
すべてのBtoB企業がECを導入すべき理由とは?
BtoB企業におけるEC化は近年急速に進展しています。従来の対面販売や電話営業に比べて、ECには多くのメリットがあります。例えば、受注業務の効率化、新規顧客の獲得、受注機会の増加、競合他社との差別化などが挙げられます。
受注業務の効率化に関しては、従来の電話やメール、FAXによる受注業務をオンライン化することで、時間とコストを削減することができます。また、新規顧客の獲得に関しては、オンライン上で商品やサービスを販売することで、全国の顧客にリーチすることが可能となります。さらに、受注機会の増加に関しては、顧客がいつでもどこでも商品やサービスを購入できるようになるため、ビジネスチャンスの拡大につながります。
以上のように、BtoB企業がECを導入すべき理由は多く存在します。ECはBtoB企業にとって、大きなメリットをもたらすことができます。
BtoB ECサイトの構築方法とは?
ECサイトは、企業同士の取引(BtoB)にも活用されています。BtoB ECサイトとは、企業が他の企業に対して商品やサービスを販売するオンラインショップのことです。
BtoB ECサイトを構築するメリットは、以下のようなものが挙げられます。
- 顧客開拓の効率化
- コスト削減
- 24時間365日営業
- 顧客満足度の向上
BtoB ECサイトの構築には、大きく分けて3つの方法があります。
- SaaS型:
月額課金制で初期費用を抑えられるため、導入しやすいのが特徴です。 - パッケージ型:
カスタマイズ性に優れていますが、導入費用が高額になる傾向があります。 - オープンソース型:
開発費を抑えられる反面、運用には専門知識が必要です。
それぞれの方法にメリット・デメリットがあり、業種や規模、予算に合わせて最適な方法を選択することが重要です。
それぞれの方法について、詳しくは以下で解説します。
SaaS型とは?
SaaS型とは、Software as a Serviceの略で、ソフトウェアをインターネット経由で提供するサービス形態のことです。ユーザーはソフトウェアを自社にインストールする必要がなく、インターネットに接続できる環境があれば、どこからでも利用することができます。
SaaS型には以下のようなメリットがあります。
- 初期費用が安い:
ソフトウェアを購入する必要がないため、初期費用が安く済みます。 - 導入が簡単:
インターネットに接続するだけで利用できるため、導入が簡単です。 - メンテナンスが不要:
ソフトウェアのメンテナンスは提供元が行うため、ユーザーはメンテナンスを行う必要がありません。 - 常に最新の状態を利用できる:
提供元が常に最新のソフトウェアを提供するため、常に最新の状態を利用することができます。
一方で、以下のようなデメリットもあります。
- インターネット接続が必要:
インターネットに接続できない環境では利用できません。 - データの安全性:
データは提供元のサーバーに保存されるため、データの安全性に不安を感じる方もいるかもしれません。 - カスタマイズが難しい:
提供元の提供する機能に限定されるため、カスタマイズが難しい場合があります。
SaaS型は、近年急速に普及しており、様々な種類のSaaS型サービスが提供されています。 BtoB ECサイト構築においても、SaaS型のEC構築サービスを利用することで、初期費用を抑え、導入も簡単に行うことができます。
パッケージ型とは?
BtoB ECサイトの構築方法の一つであるパッケージ型とは、あらかじめ決まった機能やテンプレートが用意されており、比較的短期間で低コストで導入することができます。費用対効果が高く、中小企業や初めてECサイトを構築する企業に適しています。
パッケージ型には以下のようなメリットがあります。
- 短期間で導入できる
- 低コストで導入できる
- 操作が簡単
一方で、以下のようなデメリットもあります。
- カスタマイズ性に乏しい
- 機能が限定される
- サポート体制が限定される
パッケージ型は、短期間で低コストでECサイトを構築したい企業に適していますが、カスタマイズ性や機能性に制限があるため、企業のニーズに合わせて選択する必要があります。
オープンソース型とは?
オープンソース型とは、ECサイト構築のプラットフォームやソフトウェアのソースコードが公開されており、誰でも自由に利用、改変、再配布することができるものです。これは、開発コストを抑えられるというメリットがあります。しかし、セキュリティ対策やメンテナンスは自己責任で行う必要があるため、専門知識や技術が必要となります。
オープンソース型には以下のようなメリットがあります。
- 開発コストを抑えられる
- 自由度が高い
- カスタマイズしやすい
一方で、以下のようなデメリットもあります。
- セキュリティ対策やメンテナンスは自己責任
- 専門知識や技術が必要
- サポート体制が整っていない場合がある
オープンソース型は、自社に技術力があり、開発コストを抑えたい企業に向いています。しかし、セキュリティ対策やメンテナンスに不安がある場合は、他の方式を検討した方が良いでしょう。
まとめ
BtoB ECを導入することで、受注業務の効率化、新規顧客の獲得、販路拡大など、様々なメリットを得ることができます。
また、BtoB ECは導入コストの発生や既存顧客へのフォローの必要性など、デメリットも存在します。
BtoB ECを導入することで、企業は大きな成長を実現することができます。これらのメリットとデメリットを踏まえた上で、BtoB ECの導入を成功させましょう。