
海外商品の需要が高まる中、輸入販売ビジネスに興味を持つ方が増えています。しかし、どんな許可や資格が必要なのか、具体的な手続きはどうすればいいのか、不安に感じている方も多いのではないでしょうか。この記事では、輸入販売でネットショップを始める際に必要な知識を、わかりやすく解説していきます。
輸入品を販売するために必要な許可・資格はある?

輸入販売ビジネスを始める際、多くの方が最初に気になるのが許可や資格の要否です。基本的な輸入販売自体には特別な資格は必要ありませんが、取り扱う商品によっては様々な規制や許可が必要になります。以下で、具体的にどのような場合に許可が必要になるのかを詳しく解説していきます。
輸入販売そのものに許可は不要!でも、販売する商品によっては必要になることも
輸入販売ビジネスを始める際に朗報なのは、輸入販売という行為自体には特別な許可や資格が必要ないということです。つまり、誰でも基本的には輸入ビジネスを始めることができます。
しかし、これは全ての商品が無条件で販売できるということではありません。取り扱う商品の種類によっては、様々な規制や許可申請が必要になります。たとえば、食品や化粧品などの人体に直接関わる商品や、動植物などの生体を扱う場合は、それぞれ専門的な許可や資格が必要です。
具体的には、以下のような状況で許可が必要になることがあります。
- 商品の保管場所や販売方法に関する規制
- 輸入時の検査や証明書の取得
- 販売時の表示義務や品質管理基準の遵守
特定の製品を販売する場合に必要な許可・資格
食品を販売する場合:食品衛生法に基づく許可・届出
食品を販売する場合は、食品衛生法に基づく各種許可や届出が必要です。具体的には以下の手続きが求められます。
- 食品営業許可の取得(保管施設がある場合)
- 営業届出の提出
- 食品表示基準への適合
- 輸入食品の検疫証明書の取得
特に輸入食品の場合、原産国での製造基準や日本の食品衛生法との適合性を確認する必要があります。例えば、アメリカから健康食品を輸入する場合、FDAの認証だけでなく、日本の食品衛生法に基づく表示や成分規制にも対応する必要があります。
化粧品を販売する場合:薬機法に基づく許可・届出

化粧品の輸入販売には、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく許可が必要です。主な要件として。
- 化粧品製造販売業許可の取得
- 責任技術者の設置
- 品質管理体制の整備
- 製品の届出と承認
たとえば、フランスの高級スキンケア製品を輸入販売する場合、日本の薬機法に準拠した表示ラベルの作成や、成分表示の日本語訳が必要になります。
医薬品、医療機器を販売する場合:薬機法に基づく許可・承認
医薬品や医療機器の輸入販売は、特に厳格な規制が設けられている分野です。薬機法に基づく複数の許可が必要となり、以下のような要件があります。
- 医薬品製造販売業許可または医療機器製造販売業許可の取得
- 管理薬剤師の設置(医薬品の場合)
- GMP(製造品質管理基準)への適合
- 個別製品ごとの承認申請
たとえば、海外の医療機器メーカーの血圧計を輸入販売する場合、製造販売業許可の取得に加えて、個別の機器についても承認申請が必要です。また、添付文書の日本語での作成や、不具合報告体制の整備なども求められます。
酒類を販売する場合:酒税法に基づく免許

酒類の輸入販売には、国税庁による酒類販売業免許が必要です。オンラインでの酒類販売には、以下の要件を満たす必要があります。
- 通信販売酒類小売業免許の取得
- 年齢確認システムの導入
- 酒税の納付
- 適切な表示義務の遵守
具体的には、フランスワインを輸入販売する場合、免許取得後も販売価格の届出や、未成年者への販売防止措置の実施が求められます。また、商品ラベルには日本語での必要事項(アルコール度数、容量など)の表示が必要です。
動物、植物を販売する場合:動植物検疫関連法規に基づく検査・許可
生体を取り扱う場合は、動物検疫所や植物防疫所による検査が必要です。主な要件として
- 輸入検疫証明書の取得
- 動物取扱業の登録(動物の場合)
- 特定外来生物に該当しないことの確認
- 適切な輸送・保管設備の整備
例えば、観葉植物を海外から輸入する場合、植物検疫証明書の取得が必要で、場合によっては輸入後の隔離期間が設けられることもあります。
古物を販売する場合:古物営業法に基づく許可
中古品(古物)を扱う場合は、古物営業法に基づく許可が必要です。主な要件は。
- 古物商許可の取得
- 取引記録の作成・保管
- 本人確認の実施
- 盗品等の確認義務
たとえば、海外のヴィンテージファッションアイテムを輸入販売する場合、仕入れ先の確認や取引記録の保管が必要です。また、商品の真贋判定能力も求められます。
輸入販売の際に必要な手続き

輸入販売を始める際には、商品の輸入から販売までの各段階で適切な手続きが必要です。これらの手続きを確実に行うことで、スムーズな事業運営が可能になります。以下で、具体的な手続きについて解説していきます。
輸入の手続き:通関手続きについて
輸入通関は、海外から商品を日本に持ち込む際の重要な手続きです。以下の点に特に注意が必要です。
- 輸入申告書の作成と提出
- 関税・消費税の納付
- 必要書類(インボイス、パッキングリスト等)の準備
- 商品の分類(HSコード)の確認
特に初めて輸入を行う場合は、通関業者に依頼することをお勧めします。たとえば、中国から雑貨を輸入する場合、通関業者を通じて適切なHSコードの選定や関税率の確認を行うことで、スムーズな通関が可能になります。
販売の手続き:ネットショップ開設に必要な手続き
ネットショップを開設する際には、以下の手続きが必要です。
- 事業形態の決定(個人事業か法人か)
- 開業届の提出
- 販売プラットフォームの選択と契約
- 特定商取引法に基づく表記の作成
例えば、個人事業主としてECサイトを立ち上げる場合、青色申告の承認申請や、クレジットカード決済の導入手続きなども必要になります。また、商品の写真撮影や商品説明の作成など、実務的な準備も重要です。
輸入販売でよくある間違いと注意点
個人が輸入販売する場合の注意点
個人での輸入販売には、特有の注意点があります。主な点として。
- 事業規模に応じた確定申告の必要性
- 在庫管理とキャッシュフローの重要性
- 返品・クレーム対応の準備
- 個人情報の適切な管理
具体的には、趣味で始めた輸入販売が事業規模に発展した場合、確定申告が必要になります。また、防災や衛生管理の観点から、自宅での在庫保管にも一定のルールがあることを覚えておきましょう。
法人設立して輸入販売する場合の注意点
法人として輸入販売を行う場合は、より広範な責任と義務が発生します。
- 法人登記と各種届出
- 社会保険の加入
- 経理・税務処理の厳格化
- コンプライアンス体制の整備
たとえば、株式会社を設立して輸入販売を行う場合、決算書の作成や法人税の申告など、定期的な手続きが必要になります。また、従業員を雇用する際は、労務管理の知識も必要です。
輸入販売に関する相談窓口
各省庁や自治体の相談窓口
輸入販売に関する疑問や相談は、以下の窓口で対応しています。
- 税関:輸入通関手続きに関する相談
- 経済産業省:貿易管理に関する相談
- 消費者庁:特定商取引法に関する相談
- 各都道府県の産業支援センター:創業支援全般
例えば、初めて輸入を行う際は、税関の「輸入相談官」に相談することで、必要な手続きや注意点について詳しいアドバイスを受けることができます。
専門家(弁護士、行政書士など)への相談
専門的な課題については、以下の専門家に相談することをお勧めします。
- 弁護士:契約書作成、トラブル対応
- 行政書士:許認可申請、各種届出
- 税理士:税務申告、経理相談
- 中小企業診断士:事業計画策定
たとえば、化粧品の輸入販売を始める際は、行政書士に薬機法関連の許可申請を依頼し、弁護士に販売約款の作成を依頼するなど、専門家の支援を受けることで、スムーズな事業立ち上げが可能になります。
まとめ:スムーズな輸入販売でネットショップ開業を成功させよう
輸入販売でネットショップを開業する際は、以下の点に特に注意が必要です。
- 取扱商品に応じた適切な許可・資格の取得
- 関連法規の理解と遵守
- 計画的な準備と手続きの実施
- 専門家への相談活用
これらの点を押さえた上で、市場調査や商品開発にも力を入れることで、成功への道が開けるでしょう。輸入販売は、準備と知識が重要なビジネスです。この記事で解説した内容を参考に、着実に準備を進めていってください。