越境EC(越境電子商取引)の意味は、海外のユーザーに向けてネットショップや通販サイトを通じた国際的な電子商取引のことです。近年、コロナ禍を経てさらに世界中でスマートフォンからインターネットを利用したオンラインショッピング(ネットショッピング)で買い物をすることが主流になり、その市場規模は拡大の一途を辿っています。
日本製品は、その品質の高さで国内外から高い評価を得ています。そのため、大企業や中小企業にかかわらず、越境ECを利用して事業拡大や売上拡大、グローバル化を図ることができます。
このページでは、越境ECの基本・仕組みからメリット・デメリット、始め方までを具体的にわかりやすく解説していきます。
これから海外販売を考えている方は、ぜひ参考にしてください!
越境ECの基本とは?
越境ECには、大きく分けて以下の3つの種類があります。
- 自社で越境ECサイトを運営する
- 海外のECモールに出店する
- 代行販売型越境ECを利用する
これらの種類それぞれにメリットとデメリットがあり、自社の規模や商品、販売戦略に合わせて最適な方法を選択することが重要です。
次のセクションから詳しくみていきましょう。
自社で越境ECサイトを運営する
自社で越境ECサイトを運営する場合は、既に自社商品の通信販売を立ち上げている場合はウェブサイトをリニューアルして越境機能を追加したり、新たにECサイトを制作する必要があります。これには、多言語対応や多通貨決済、海外への配送に対応することが必要になります。
自社で越境ECサイトを運営するメリットは、以下の通りです。
- 顧客基盤を拡大できる
- 顧客との直接的なコミュニケーションが可能
一方で、自社で越境ECサイトを運営するデメリットは、以下の通りです。
- 初期費用や運営コストがかかる
- 専門的な知識や技術(ノウハウ)が必要
- 法律や規制への対応が必要
自社で越境ECサイトを運営する際には、メリットとデメリットを詳細まで理解し、計画的に進めることが重要です。
海外のECモールに出店する
海外のECサイト(ショッピングモール)に出店する越境ECでは、モールを通じて商品を販売します。越境ECモールは、AmazonやeBay、Alibabaなど、世界中に多くの種類があります。注意点としては、各モールには独自のルールや規約があり、出店には審査が必要な場合もあることです。
ECモールに出店するメリットは、以下の通りです。
- 多くの顧客にリーチできる
- マーケティングコストを抑えられる
- 決済や物流が容易
しかし、ECモールに出店するデメリットもあります。
- 競争が激しい
- 手数料・月額料金が高い
- 顧客情報が取得できない
越境ECモールに出店する際は、メリットとデメリットを考慮して、自社の商品やビジネスモデルに合ったモールを選択することが重要です。
代行販売型越境ECを利用する
越境ECの初心者や、自社での運営が難しい企業におすすめなのが、始める際の難易度が低い代行販売型越境EC(アウトソーシング)です。
越境EC事業者が販売から決済代行・発送代行までしてくれるため、自社で越境ECサイト構築や運営、海外への発送の手間がかかりません。
代行販売型越境ECのメリットは以下の通りです。
- 初期費用が抑えられる
- 販売までの時間が短い
- 販促施策がある
一方で、代行販売型越境ECには以下のようなデメリットもあります。
- 利益率が低い
- ブランドイメージがコントロールできない
- 販売データを取得できない
代行販売型越境ECを利用する際には、メリットとデメリットを比較検討し、自社に合った販売方法を選択することが重要です。
越境ECのメリット
越境ECとは、自国のECサイトを通じて海外の顧客に商品やサービスを販売するビジネスモデルです。近年、日本国内のEC市場が飽和状態になりつつある一方で、海外市場には大きな成長可能性があるとされています。
越境ECのメリットは大きく分けて4つあります。
- 海外の顧客を獲得できる
- 出店や店舗運営が容易
- ビジネス拡大の可能性
- 日本製品に対する需要
越境ECは、多くのメリットがある魅力的なビジネスモデルです。自社の商品やサービスに海外市場への販路拡大の可能性を感じている企業は、越境ECへの参入を検討してみてはいかがでしょうか。
次のセクションからこれらのメリットについて詳しく見ていきましょう。
海外の顧客を獲得できる
越境ECは、自国の顧客だけでなく、世界中の顧客に商品やサービスを販売できる魅力的なビジネスモデルです。海外市場は国内市場よりもはるかに広く、より多くの潜在顧客にリーチすることができます。
海外市場に参入することで、自社のブランド認知度を向上させることができます。国内市場の景気変動に左右されにくくなり、収益源を多様化することができます。
越境ECで海外の顧客を獲得するためには、以下のようなポイントに注意する必要があります。
- ターゲット市場を明確にする:
海外市場は多様性に富んでいるため、自社の商品やサービスに適したターゲット市場を明確にする必要があります。 - 言語を考慮する:ターゲット市場の言語に対応したウェブサイトや商品情報を用意する必要があります。
- 決済手段を充実させる:ターゲット市場で一般的な決済手段に対応する必要があります。
- 物流体制を整える:海外への配送に対応した物流体制を整える必要があります。
越境ECは、多くの機会をもたらすビジネスモデルですが、成功するためには綿密な準備と計画が必要です。上記のようなポイントを考慮し、適切な戦略を立てることで、海外の顧客を獲得し、ビジネスを拡大することができます。
出店や店舗運営が容易
出店や店舗運営が容易な点は、越境ECの大きな魅力の一つです。従来の海外進出では、実店舗を構えるため現地法人を設立したり、倉庫を確保したりする必要がありましたが、越境ECであればこれらの手間を省き、低価格でショップを開設することができます。
例えば、AmazonやeBayなどの海外のECモールに出店する場合、モールが提供するプラットフォームを活用して簡単にオンラインショップを開設することができます。また、倉庫や配送などの物流に関しては、モールが提携する業者に委託することが可能であり、煩雑な手続きやオペレーションを自社で行う必要がありません。
さらに、越境ECでは決済や言語対応なども簡略化されています。多くの海外のECモールは、主要なクレジットカードやオンライン決済サービスに対応しており、顧客は自国の通貨で支払いを行うことができます。また、モールによっては自動翻訳機能や多言語対応のサポートを提供しているため、言語の壁を克服しやすくなっています。
ただし、出店や店舗運営が容易であっても、海外顧客に対するマーケティングや商品・サービスのローカライズなどは必要です。それぞれの市場のニーズに合わせて、商品やサービスの魅力を効果的に伝えることが重要となります。
出店や店舗運営が容易であることのメリットは、初期投資や運営コストを抑えられる、海外進出のハードルが下がる、短期間で販売を開始できる、自社の業務に集中できるなどが挙げられます。
ビジネス拡大の可能性
越境ECは、クロスボーダー取引を可能にするビジネスモデルです。近年、日本製品への需要が高まっていることから、多くの企業が越境ECに参入しています。
越境ECは、国内市場に比べて巨大な海外市場への進出を可能にするため、ビジネス拡大の可能性を秘めています。例えば、日本製品は珍しい商品が多いことや、品質の高さ、安全性、デザイン性などから世界的に人気を博しており、越境ECを通じて海外の顧客に製品を販売することで、大きな収益を得ることが期待できます。
さらに、越境ECは、国内市場の競争が激化する中で、新たな販路を開拓する手段としても有効です。国内市場では競合他社との競争が激化しており、商品やサービスの差別化が難しくなっています。しかし、越境ECを通じて海外市場に進出することで、競合他社の少ない市場でビジネスを展開することが可能になります。
このように、越境ECはビジネス拡大の可能性を秘めた魅力的なビジネスモデルです。しかし、海外市場に進出するためには、言語や文化、法律などの違いを考慮する必要があります。また、国際的な物流や決済システムの構築も必要です。これらの課題を克服することで、越境ECを通じて成功を収めることが可能になります。
日本製品に対する需要
日本製品は、世界中で高く評価されています。その理由は以下の通りです。
- 品質が高い:
これは、日本企業が製品開発に細心の注意を払い、徹底した品質管理を行っているためです。また、日本は世界最先端のテクノロジーを有しており、高品質な製品を製造する能力を持っています。 - 信頼性が高い:
これは、日本企業が顧客満足度を最優先に考えているためです。日本企業は製品の耐久性や安全性に重点を置き、アフターサービスも充実しています。そのため、顧客は安心して日本製品を購入することができます。 - デザイン性が高い:
日本製品は、シンプルで機能的なデザインが特徴です。また、日本の伝統的な美意識を取り入れた製品も多く、日本独自の感性を感じることができます。日本製品のデザイン性は、世界中の消費者の心を捉えています。
これらの理由から、日本製品に対する需要は世界中で高まっています。特に、中国や東南アジアなど、経済成長著しい国々で日本製品の需要が高まっています。日本企業は、これらの需要を捉えて、積極的に海外市場に進出しています。
越境ECのデメリット
越境ECは魅力的なビジネス形態ですが、いくつかのデメリットも存在します。
- 高額な輸送コスト
- 異なる国・地域への対応
- トラブルの可能性
これらのデメリットを理解した上で、越境ECに参入するかどうかを検討することが重要です。
次のセクションからこれらのデメリットについて詳しくみていきましょう。
高額な輸送コスト
輸送コストは、越境ECの大きなデメリットの1つです。
海外への配送は国内配送よりも費用がかかり、商品のサイズや重量、配送先によって異なります。大型で重い商品は、小型で軽い商品よりも輸送コストが高くなり、遠方の国への配送は近隣の国への配送よりもコストがかかります。高額な輸送コストは、越境EC事業の収益性に大きな影響を与えるため、配送方法や配送業者を慎重に選択する必要があります。
また、商品の価格設定を調整して、輸送コストを考慮することも重要です。
以下は、越境ECにおける輸送コストを抑えるためのポイントです。
- 配送方法:
航空便よりも船便の方が輸送コストは安くなりますが、時間がかかります。商品の納期が許すのであれば、船便を利用することを検討しましょう。 - 配送業者:複数の配送業者を比較して、最も安い業者を選びましょう。
- 商品の価格設定:輸送コストを考慮して、商品の価格を設定しましょう。
- 関税や輸入消費税:関税や輸入消費税は、商品によって異なります。事前に調べておきましょう。
異なる国・地域への対応
越境ECにおいて、多様な国・地域への対応は重要な課題です。言語、文化、法律、規制の違いなど、考慮すべき要素は数多く存在します。
まず、言語の壁を乗り越える必要があります。商品説明や顧客とのコミュニケーションは、ターゲットとなる国の言語で行うことが必須です。翻訳ソフトの活用や、現地スタッフの雇用などが有効な手段となります。
次に、文化の違いへの配慮も重要です。例えば、日本と欧米では、商品の色やサイズに対する好みが異なる場合があります。また、宗教的な制約がある商品を販売する際には、十分な注意が必要です。
法律や規制についても、各国のルールを遵守する必要があります。特に、関税や税金、個人情報保護に関する法律は、事前に確認しておくことが不可欠です。
これらの課題を克服することで、越境ECにおける成功の可能性を高めることができます。
トラブルの可能性
越境ECは多くのメリットがある一方で、トラブルの可能性もゼロではありません。トラブルの可能性を理解することで、リスクを最小限に抑えることができます。
越境ECで発生する可能性のあるトラブルには以下のようなものがあります。
- 言語の壁:異なる言語を話す顧客とのコミュニケーションは難しい場合があります。
- 支払いトラブル:海外の顧客からの支払いが遅れたり、不十分な場合があります。
- 物流トラブル:商品の発送に時間がかかったり、紛失したりする場合があります。
- 法律問題:越境ECは複雑な法律規制の対象となります。
- 文化の違い:海外の顧客の文化や習慣を理解していないと、トラブルが発生する可能性があります。
これらのトラブルを回避するためには、以下のような対策が必要です。
- 言語の壁を克服するため、翻訳サービスや通訳サービスを利用する。
- 支払いトラブルを回避するため、安全性の高い決済方法を選択する。
- 物流トラブルを回避するため、信頼できる物流会社を利用する。
- 法律問題を回避するため、弁護士に相談する。
- 文化の違いを理解するため、海外の顧客の文化や習慣を学ぶ。
これらの対策を徹底することで外国人の顧客とのさまざまな問題に対応することができます。
越境ECの始め方
越境ECを始める際には、まず法律や規制の確認と、適切な出店方法の選択が重要です。
<法律や規制の確認>
各国で越境ECに関する法律や規制が異なるため、輸出入に関する規制や関税、知的財産権の保護などについて事前に確認する必要があります。
<適切な出店方法の選択>
越境ECには、自社サイトで販売する越境ECと、AmazonやeBayなどのオンラインマーケットプレイスに出店する越境ECの2種類があります。自社サイトで販売する場合は、サイト構築や運営、マーケティングなどが必要となるため、ある程度の準備が必要です。一方、オンラインマーケットプレイスに出店する場合は、比較的簡単に越境ECを開始することができます。
越境ECを始める際には、これらの点に注意して準備を進めることが重要です。
次のセクションから詳しくみていきましょう。
法律や規制の確認
越境ECを始めるにあたって、まず重要なのは法律や規制の確認です。越境ECは、日本国内だけでなく海外の顧客にも商品を販売するため、国内法に加えて、輸出入に関する国際法や、販売先の国の法令を遵守する必要があります。
主な法律や規制には以下のようなものがあります。
- 外国為替及び外国貿易法:海外への送金や輸出入に関する規制が定められています。
- 関税法:輸入される商品にかかる関税の額や納付方法が定められています。
- 食品衛生法:海外から食品を輸入する場合は、食品衛生法の基準を満たす必要があります。
- 薬事法:医薬品や医療機器を輸入する場合は、薬事法の基準を満たす必要があります。
- 販売先の国の法令:
販売先の国の法令にも注意が必要です。例えば、欧州連合(EU)では、製品安全指令やRoHS指令など、製品に関する様々な規制があります。
これらの法律や規制を遵守していないと、罰金や商品没収などのペナルティを受ける可能性があります。そのため、越境ECを始める前に、法律や規制をしっかりと確認したり、専門家に相談することが重要です。
また、法律や規制は常に変更される可能性があるため、最新の情報を入手することが大切です。税関や経済産業省のウェブサイトなどを定期的に確認するようにしましょう。
適切な出店方法の選択
越境ECに着手する際には、自社の商品やリソース、そしてターゲット市場を考慮し、最適な出店方法を選択することが重要です。
代表的な出店方法としては、自社ECサイトの構築、海外ECモールへの出店、越境EC代行サービスの利用などがあります。
それぞれの出店方法にはメリットとデメリットが存在するため、自社の状況に合わせて慎重に検討することが大切です。
まとめ
越境ECは、世界中の顧客に製品を販売でき、市場拡大のチャンスを掴める魅力的なビジネスモデルです。しかし、開始前に考慮すべき重要なメリットとデメリットがあります。
越境ECのメリットは、海外の顧客を獲得できる、出店や店舗運営が容易、ビジネス拡大の可能性、日本製品に対する需要などがあります。
一方、越境ECのデメリットは、高額な輸送コスト、異なる国・地域への対応、トラブルの可能性などがあります。
越境ECを始めるには、法律や規制の確認、適切な出店方法の選択などが必要です。
越境ECは、多くのメリットとデメリットがあります。開始前にメリットとデメリットを慎重に検討し、適切な準備をすることが重要です。