
ECサイトの運営において、安定した収益を確保するために注目されているのが定期購入(サブスクリプション)モデルです。本記事では、EC-CUBEでの定期購入機能の導入方法から、運用のコツまで詳しく解説していきます。これから定期購入の導入を検討している方はもちろん、すでに導入済みの方にとっても参考になる情報をお届けします。
EC-CUBEで定期購入(サブスク)を導入するメリット・デメリット

EC-CUBEに定期購入機能を導入することで、事業者側と顧客側それぞれにメリット・デメリットが生じます。ここでは、両者の視点から詳しく解説し、導入の判断材料としていただけるよう具体的に説明していきます。
EC-CUBEで定期購入を導入するメリット(事業者目線)
定期購入の導入は、事業者にとって多くのメリットをもたらします。最も大きな利点は、安定した収益基盤の確立です。通常の都度購入と比べて、以下のような具体的なメリットが挙げられます。
- 売上の予測が容易になり、在庫管理が効率化される
- 顧客との長期的な関係構築が可能になり、ブランドロイヤリティが向上する
具体的な数字で見てみましょう。定期購入を導入している企業の多くは、顧客単価が平均40%以上向上したというデータがあります。これは、定期的な収入が確保されることで、マーケティング費用の効率化にもつながるためです。
また、EC-CUBE特有のメリットとして、豊富なプラグインやカスタマイズ性の高さが挙げられます。たとえば、独自の定期購入ルールを設定したり、顧客の利用状況に応じて配送頻度を柔軟に変更したりすることが可能です。
EC-CUBEで定期購入を導入するデメリット(事業者目線)
一方で、定期購入の導入にはいくつかの課題も存在します。主なデメリットは以下の通りです。
- システム導入・運用コストの増加
- 解約対応などの顧客サポート業務の増加
特に初期導入時には、システムの構築やテストに一定の時間とコストが必要となります。具体的には、プラグインの場合で月額1万円程度、独自開発の場合は50万円以上の投資が必要となることが一般的です。
また、定期購入特有の課題として、決済エラーへの対応があります。クレジットカードの有効期限切れや与信限度額超過などによる決済失敗に対して、適切なフォローが必要となります。
顧客にとっての定期購入のメリット・デメリット
顧客視点でのメリットとしては、以下のような点が挙げられます。
- 定期的に必要な商品の購入手続きが不要になる
- ポイント還元や割引特典を受けられる場合が多い
一方で、顧客が感じる不安や懸念として以下のようなものがあります。
- 解約手続きの煩雑さ
- 商品の届く量や頻度の調整が難しい
これらの課題に対しては、わかりやすい解約方法の提示や、配送頻度の柔軟な変更オプションを用意することで対応が可能です。
EC-CUBEで定期購入を始める方法 – 既存利用者向け
すでにEC-CUBEを利用している方向けに、定期購入機能の導入手順を詳しく解説します。プラグインの選定から設定まで、段階的に実施していく必要があります。
EC-CUBEの定期購入機能の選び方:プラグイン?独自開発?
定期購入機能を導入する方法は、大きく分けて以下の2つがあります。
- プラグインを利用する方法
- 独自開発で実装する方法
選択の基準となるポイントは以下の通りです。
- 予算規模: 数万円〜数十万円のプラグイン vs 50万円以上の独自開発
- カスタマイズ性: 基本機能で十分 vs 独自の機能が必要
- 導入までの期間: 即時利用可能 vs 開発期間が必要
おすすめのEC-CUBE定期購入決済プラグイン比較

EC-CUBEで利用できる定期購入の決済プラグインには、複数の選択肢があります。以下に、主要な決済会社の特徴を比較表で示します。(EC-CUBE 4.2系以上で対応が可能なもの)
プラグイン名 | 利用料金など |
---|---|
EC-CUBEペイメントplus | 定期課金サービス 3000円(税抜)/月 |
ソニーペイメント | 決済の契約のみで定期購入は無料で導入可能 |
ルミーズ | クレジットカードによる自動継続課金のほか口座振替、キャリア決済の継続課金も可能。 |
ZEUS | 決済の契約のみで定期購入は無料で導入可能 |
アナザーレーン | 詳細非公開 |
選定の際は、以下のポイントを重視して検討することをおすすめします。
- 必要な機能が標準で搭載されているか(課金サイクルや顧客側で休止したりができるかどうか)
- サポート体制が充実しているか(なにかトラブルが起こった時に電話などでサポートがあるか)
- その他の決済方法(後払いやキャリア決済)などが、ショップにとって必要であれば一緒に導入が可能かどうか
定期購入プラグインのインストールと初期設定手順
プラグインの導入は、以下の手順で進めていきます。
- EC-CUBEの管理画面にログイン
- プラグイン管理メニューから新規プラグインをインストール
- ライセンスキーを入力して認証
- 基本設定の実施
具体的な設定項目としては、配送間隔の設定や決済方法の選択、解約ルールの設定などがあります。たとえば、配送間隔は「30日ごと」「60日ごと」といった具体的な期間を設定できます。
定期購入商品の登録方法と注意点
定期購入商品を登録する際は、以下の点に特に注意が必要です。
- 在庫管理の設定: 定期購入用の在庫を別枠で確保するかどうか
- 価格設定: 通常購入との価格差の有無
- 送料設定: 定期購入特別送料の有無
具体的な手順としては、商品登録画面で「定期購入可能」のチェックボックスをオンにし、定期購入特有の設定項目を入力していきます。価格については、通常価格から10〜15%程度の割引を設定するケースが多く見られます。
定期購入の決済方法の設定(EC-CUBE決済おすすめの紹介)

定期購入には、継続的な決済が可能な決済方法の選択が重要です。おすすめの決済方法は以下の通りです。
- クレジットカード決済(GMOペイメント、StripeなどのPGと連携)
- 口座振替(自動引き落とし)
- 後払い決済(NP後払いなど)
特にクレジットカード決済は、以下の理由から最もおすすめです。
- 継続課金の自動化が容易
- 決済エラー時の再決済機能が充実
- カード情報の更新管理が可能
EC-CUBEで定期購入を検討中の方へ – 新規導入者向け
EC-CUBEは定期購入に向いている?他プラットフォームとの比較
EC-CUBEの定期購入機能は、他のECプラットフォームと比較して以下のような特徴があります。
- カスタマイズ性: 独自の要件に合わせた開発が可能
- コスト: 初期費用を抑えられる(オープンソースのため)
- 拡張性: 様々なプラグインとの連携が可能
ただし、以下のような課題もあります。
- 導入時の技術的な知識が必要
- カスタマイズによっては保守費用が発生
EC-CUBEで定期購入を始めるための費用と準備
定期購入機能の導入には、以下のような費用項目を考慮する必要があります。
- システム導入費用
プラグイン本体は無料ですが、設定費などで5000円~、決済会社との契約により月額5000円~の利用料金と決済時の手数料がかかります。
- 運用費用
- サーバー費用:月額1,000円〜数万円
- 保守費用:月額3万円〜 ※制作会社によりかからない場合もあります
- 決済会社にかかる費用:月額利用料金+定期決済がオプションの場合のオプション費用+決済時の手数料
また、準備すべき項目として以下があります。
- 定期購入規約の整備
- カスタマーサポート体制の構築
- 在庫管理システムの整備
EC-CUBE定期購入の導入事例紹介

実際の導入事例をご紹介します。
事例1:健康食品EC企業A社
- 導入背景:顧客の継続率向上を目指して
- 導入効果:定期購入顧客のLTVが2.5倍に向上
- 特徴的な施策:3回継続特典の導入
事例2:教育教材EC ぱんだの庭「ぱんだちゃんのおうち学校」様
- 導入背景:ダウンロードで教材を販売。初めは小規模でLINEで都度リンク決済を送付していたが手間が増えたためECで構築しました。
- 導入効果:毎月の課金処理がほぼ自動化でき、会員数も増えました。
- 特徴的な施策:カード決済が難しい方向けに口座振替も導入しました。
- 決済会社:ルミーズ
EC-CUBE定期購入機能のカスタマイズ – 開発者向け
定期購入機能のカスタマイズでできること
EC-CUBEの定期購入機能は、様々なカスタマイズが可能です。
- 配送スケジュールの柔軟な設定
- 独自の割引ルールの実装
- 会員ステータスに応じた特典付与
たとえば、「3回継続で10%OFF」といった独自の特典ルールや、「季節に応じて配送間隔を自動調整」するような高度な機能も実装可能です。
定期購入機能カスタマイズの注意点
カスタマイズを行う際は、以下の点に注意が必要です:
- バージョンアップへの対応: コアファイルの改修は極力避ける
- セキュリティ対策: 決済情報の取り扱いには特に注意
- パフォーマンス: 大量の定期購入処理による負荷対策
特に重要なのは、決済処理のセキュリティです。PCI DSSなどのセキュリティ基準に準拠した実装が求められます。
定期購入APIの活用方法
EC-CUBEの定期購入APIを活用することで、以下のような機能を実装できます:
- 外部システムとの連携
- 独自の管理画面の作成
- バッチ処理の自動化
APIのエンドポイントには以下のようなものがあります:
/api/v1/subscription/orders
: 定期購入情報の取得・更新/api/v1/subscription/schedules
: 配送スケジュールの管理/api/v1/subscription/customers
: 定期購入顧客の管理
EC-CUBE定期購入の運用と売上アップのコツ
定期購入の解約率を下げるための施策
解約率を抑制するためには、以下のような施策が効果的です。
- 継続特典の付与: ポイント還元率アップや限定商品の提供
- 顧客コミュニケーションの強化: 定期的なフォローメール
- 柔軟な配送間隔の設定: 顧客ニーズに合わせた調整
特に重要なのは、解約理由の分析です。解約時アンケートを実施し、その結果を施策に反映することで、継続的な改善が可能となります。
定期購入顧客のLTVを高める方法
LTV(顧客生涯価値)を高めるためには、以下の施策が効果的です。
- クロスセル・アップセルの実施
- 会員ランク制度の導入
- パーソナライズされたコミュニケーション
具体的には、購入履歴に基づくレコメンドや、会員ランクに応じた特別特典の提供などが有効です。
定期購入導入に関するよくある質問(FAQ)
Q1: 月額課金の場合、1か月スキップなどはできますか?
A1: 導入する決済会社様の仕様によりますので契約前に決済会社に相談が必要です。
Q2: ダウンロード商品や会費など実態がないものでもサブスクは可能ですか?
A2: 多くの場合可能ですが、決済会社様との契約によります。対応していない場合おあります。
まとめ:EC-CUBEで定期購入を成功させよう

EC-CUBEでの定期購入機能の導入は、継続的な収益確保と顧客との長期的な関係構築に大きく貢献します。成功のポイントは以下の3点です。
- 適切な決済会社プラグインまたは開発方法の選択
- 顧客ニーズに合わせた柔軟な運用
- 継続的な改善とコミュニケーション
今後のEC業界では、定期購入モデルの重要性がさらに高まることが予想されます。本記事で解説した内容を参考に、自社に最適な定期購入の仕組みを構築していただければ幸いです。